障害年金の 支分権権消滅時効の問題については 決して許されるべきでない 司法の悪循環が起っている
このブログへの 定期訪問者は ご存知のことであるが 支分権消滅時効は 行政処分である 裁定前に時効進行するかどうかについては 最高裁に二つの判例がある
一つは 平成7年11月7日判決の 212号判決 いわゆる (有名判決である本村年金訴訟上告審判決) であり 今一つは 平成29年 10月17日判決である 44号判決である
212号判決は 裁定前には支給されない(権利行使できない) としており 44号判決は 212号判決改変引用して 身体の障害について 裁定前に 消滅時効が進行している旨を述べている
この判決は 言及部分についても 言及してしかるべき事項について 言及していない部分(末尾参照)についても 誤っているが これを下級審で 主張しても 44号判決を引用して 棄却される
この事件が進級し最高裁において 上記について違法である旨を主張しても 最高裁は 中身を吟味する事なく いわゆる 三行半の 定型的 受付 拒否 の 調書( 民事訴訟法 第 312条及び第318条) を出して これが繰り返されることとなる
そうすると この問題については 44号判決が 違法であり間違っていても これは 半永久的に 修正されることはない
この悪循環は大問題であるが 多くの国民は 基本権と支分権の独立が厳格であるべきことを 認識していないので 大きな問題となっていない
しかし この権利は 憲法 第25条2項により具体化した重大な権利であるので 実は 司法の根幹を揺るがす大問題なのである
44号判決の矛盾点については、基本権と支分権の独立を前提に、44号判決が権利の混同を許されるとする理由が、正当な理由となっていないこと及び触れるべき事項が触れられていない点において誤っている
前提とされている部分にも誤りがある
「受給権者は、当該障害年金に係る裁定を受ける前においてはその支給を受けることはできない」と認めながらも、支給要件等の規定が明確である等の理由により、基本権に対する権利不行使を支分権に対する権利不行使とみなして、時効消滅させている点で自己矛盾がある
具体的な誤認識は 以下の3点である
@ 明確な規定が設けられている、A 裁定は公権的に確認するものにすぎない、及び B 裁定を受けさえすれば…直ちに権利を行使することができる、である
なお 説示の基礎となっている民法の解釈自体を誤っている
民法第166条1項の「権利を行使することができる時」の解釈は この場合は 「債権成立の時」ではなく 「期限到来の時」である
これでは到底 法治国家 といえる状態になっていない
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