2021年11月27日

「お客様負担が生じます」という無知な経営者


11月24日(水)にやっと完了した防水工事に係る話である。追加工事費用のお客様負担についてと遅延損害金の措置について予想もしなかった社長の反応にびっくりした。

ここまで施工すれば雨漏りは直るとのことで契約した工事について、雨漏りが直るどころか、唯一、増築した部分の室内を経由している樋を下請け業者が工事の無配慮から詰まらせてしまった。これが原因で、防水工事やが、新たな雨漏りを造り出してしまったのである。

2週間もあれば完了するはずの工事が、3カ月以上延びて、家が1軒建つ位の工期となってしまった。

漏水の原因が診立て誤りで、雨漏りは全然止まらない。必然的に、施行カ所が増えて、請負業者の負担は増す。

そこで飛び出したのが、社長の「お客様負担が生じます。」という言葉である。

お客様の負担が生じるのは法律上の原因があって初めて生ずるものである。請負工事は工事の完成に対して代金が支払わられる契約である。防水工事が完了しないから追加工事を要する場合、当然にお客様負担が生ずるものではない。

私は、約2年間数社の専門家が原因を特定できなかった雨漏りに対して一生懸命対策を考え、種々の防水施工を試みられたことに対し誠意を感じたので一部負担に同意することにした。

あくまで、私の感謝の気持ちの表現である。このような場合に、お客様負担が当然に生じると思っている基本的な考え方については、若い社長が今後事業を発展させていくのに支障となると考え余分なことを言ってみた。


もう一つは 契約書11条に定める遅延損害金の措置である。

私は、そのことに関し金銭のやり取りをするのは好ましくないと思ったので、事前に、車庫の帯及び1階手すりの塗装施工を代替案として提案したが返事がない。

工事完了が遅れたことに、私の責任は一切ない。例えば、このことは私が支払いを約3か月遅らせることに匹敵することである。

それでは、会社の運営にも影響することでしょうし、私の好むところではない。

しかし、工事が遅れるということは、施主にとっては、これに匹敵するほどの実質的損害を被っているのである。

3回ほどのショートメールのやり取りと、現場での下見の結果、手すりの施工には手間暇がかかりそうという社長の発言があり、施工業者は、同じ色の塗料の提供で済ませ、施工は私がすることで、11月25日(木)に全て円満解決したが、世の中、色々な経営者がいるものである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 08:47| Comment(0) | 日記

2021年11月20日

再審査期間を経過した事件の社会保険審査会の受理


今月11月12日(金)に、嬉しい事実が2つあった。

1つは、近畿厚生局の社会保険審査官に「教示があった」等の理由により、審査請求期間を経過していることに係る正当な理由はないと却下された事件を社会保険審査会が約4カ月半の要件審査をしていただき、正当な理由があると判断して受理してくれたことである。従って、この事件については、来月12月16日(木)14:10から約30分間の予定で、公開審理が開かれることになった。

今1つは、九州厚生局の社会保険審査官に、審査請求していた事件が約半年半の要件審査を経て受理されたことである。

2つの事件共に、難しい内容を含んでおり、当局としては、受理したくない事案であると推測される。

概要は、前者は、障害年金の支分権が、行政処分である裁定前に時効消滅するか否かを問う事案であり、今1つは、平成29年3月17日にその日1日について厚生年金保険の被保険者であったことについて、令和2年3月19日に届け出が受理され、その日は厚生年金保険の被保険者であった旨の通知まで来ているのに、100条調査により、その日に給与の支払いの実態がないと被保険者資格の取消処分を受けたことに対する審査請求である。

いずれも語れば長い話となる事案であるが、本日は、前者についてだけ、その概要を紹介する。

この問題は、障害年金の支分権の消滅時効が行政処分である裁定前に既に時効消滅しているという現在の不合理な運用に異を唱えた再審査請求である。

事件の重大性については、この判断については、従来、最高裁及び高裁の判断が割れているところにある。

最高裁の44号判決の「時効消滅している」(最高裁 平成29年(行ヒ)第44号判決 障害年金請求事件 平成29年10月17日最高裁第三小法廷判決(民集第71巻8号1501頁)(1-2)https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1) という判決理由は、先に出された最高裁判例(最高裁 平成3年(行ツ)第212号判決 老齢年金支給請求事件 平成7年11月7日最高裁第三小法廷(民集第49巻9号1829頁)(2)https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1)の判旨を改変引用しており、障害年金については、判決の理由が成り立ち得ないものとなっている。

そして、44号判決が出されているということは、下級審の裁判では、これに従った判決しか出せないという計り知れない大きな実害が生じている。

また、44号判決の判旨は、約6年間、社会保険審査会の審査長を務められ、「裁決例による社会保険法」の著者である加茂紀久男の正しい判断に反し、本件実務の中枢機関に勤務する職員で構成された法務省訟務局内 社会保険関係訴訟実務研究会の判断(法務省訟務局内 社会保険関係訴訟実務研究会(1999.5.30)「社会保険関係訴訟の実務」(252-253))にも反している。

更に、44号判例解説(一般財団法人法曹会(2020.3.20)「最高裁判所判例解説 民事編平成29年度(下)(10月〜12月分)」〔22〕厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)47条に基づく障害年金の支分権の消滅時効の起算点 上告審判例 平成29年10月17日判決(510―511))では、調査官は、「「裁定時節」と「支払期説」がある」と他人事のようなことを言っており、「今後も一定期間は本件と同様の紛争が生じるところであり、そのような事案においては、本判決の判示に従って判断されることになる。」と、この誤った判決が絶対であるかのごとき無責任な解説をしている。

これらは、あってはならない重大なことであるので、可及的速やかに法改正又は運用改正を要する事柄である。

2〜3カ月後には裁決が下されるはずであるので、厚生労働省内の記者の皆様に本公開審理に傍聴参加いただき、今後を見守っていただく、ご案内をさせていただくこととした。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 07:42| Comment(0) | 1 障害年金

2021年11月13日

査読に入った投稿論文


私が、ライフワークにしている障害年金の支分権消滅時効に係る運用誤りに関する論文についてである。

日本年金学会に学会誌掲載論文として投稿した論文が、幹事会の決議を経て査読に入った旨の連絡を11月8日(月)に学会事務局から受けた。

タイトルは、「障害年金の支分権は本当に裁定前に時効消滅しているか否か」である。有り難いことに、幹事会において、査読に入る判断をしていただいた。この論文は、既に多数の弁護士の先生に意見をいただいているので、これが査読者(選任された学者)の見解により、正反対の論旨に変わってしまうことは考えられず、修正があったとしても、一部、言い回し等の表現方法の修正程度であると思っている。

この論文では、定説に対する決定的欠陥を3項目挙げており、東京高裁が44号判決に対し、「212号判決と矛盾するものでないし、誤った判断をしているものでもない」と、国語の解釈としては明らかにおかしい説示をしている旨も紹介している。

この論文が述べている事実及び推論の誤りについては、上記のように、既に年金に詳しい多数の弁護士の先生にお読みいただいているので、査読者による大幅な習性はないものと推測しているのである。

平成29年10月17日に44号判決が出されてしまっている以上、この問題は、高裁以下で、これに逆らえないのは歴然とした事実である。

行政や司法の誤りを正す方法は、学会や世論、及び立法の側面からしか現実的方法はなくなっている今、この論文の査読者の見解は今後大きな原動力になっていくものと確信している。

ほかにも大きな動きがあり、私は、やっと土日に休める状態になってきたところであるが、しばらくは忙しい毎日が続きそうになってきた。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 09:55| Comment(0) | 1 障害年金