2016年11月26日

またも 判断しない最高裁


一昨日、唯一受任している遺族年金の消滅時効に係る事件での上告受理申立てが受理されなかった旨の通知を受任弁護士の先生から受けた。またもや、正に、「判断しない最高裁」である。

本日は、少し長くなるが、私が、今度こそ、腰の重い最高裁も判断を下さなければならない筈だと工夫を重ね提出した「上告受理申立て理由補充書」の一部を抜粋して掲載する。全文を掲載すると10枚を超えてしまうので、第3以降は、タイトルだけとさせていただいた。なお、受任弁護士が上告受理申立て理由書を提出していることは言うに及ばない。

上告受理申立て理由補充書

平成28年7月15日

最高裁判所 御中
                  
上告受理申立人補佐人 木戸 義明 ㊞

本書では、以下の3点につき申し述べる。
@ 本申立てが受理要件に該当すること
A 本案を巡る問題が、司法及び行政で大きな問題と化している事実
B ほとんどの高等裁判所で誤った事実認定及び誤った評価・判断が下されており、中には、本論とは別の理由で結論ありきの判決が下されている事実

第1 受理要件該当性について
1 原判決に最高裁判例と相反する判断があること

   原判決は、本件裁定は、「長官が公権的に確認する行為にすぎず」(4頁14行目)、「裁量的判断を含まないものと解される」(4頁17行目)と判示する。しかし、この判断は、最高裁判所の判断に反するので、以下で詳述する。
厚生年金及び国民年金に係る裁定の法的性質について考察された最高裁判例は、一つしかない。この判例については、後日、最高裁判所判例解説(甲第50号証)に掲載され、本案の議論の中心となる裁定の法的性質について詳しく解説されている。
  この解説では、社会保険関係給付の受給権が実体法上いつどのようにして発生するかは、その性質から当然導き出されるものではなく、結局、立法政策により決せられるものである。現行制度は、次の3類型に分類できる(成田頼明ほか編・行政法講義下巻173頁[高田敏執筆]参照)。
(1)形成行為型  (2)確認行為型  (3)当然発生型
この内、国年法第16条(厚年法第33条)の裁定は、(2)確認行為型とされており、この受給権は、行政庁による認定、決定、裁定等の確認行為によって初めて具体的権利を発生させることとしているものであるので、裁定前には発生していない。加えて、確認行為型における確認行為も、これがなければ結局具体的受給権が発生せず、その行使が不可能であるから、行政処分に当たるものと解される。
これに対して、(3)当然発生型では、実体上の権利の発生等は、行政庁の行為をまたずに法律上当然に発生するから、そこに行政機関の行為が介在しても、それは既に発生している権利等に変動を及ぼすものとは考えられず、その処分性を肯定することはできない(939頁から940頁)とされている。
ところが、福岡高裁も相手方も、縷々説明する消滅時効完成理由は、裁定の法的性質を上記(3)の当然発生型と誤認した主張・説明をしており、法解釈を誤っている。
2 高等裁判所の判断が割れていること
本案の中心的争点は、裁定前に支分権の消滅時効が起算されるのか否かにある。平成24年4月20日の名古屋高裁判決(甲第7号証)は、裁定前には支分権は具体化していないので、この状態では権利行使できず、未裁定の状態は、時効進行上の法律上の障害であり、支分権の消滅時効の起算日は、年金決定通知書が受給権者に届いた日の翌日であると判示する。そして、この考え方は、上記の最高裁の考え方とも合致しており、他の関連事項とも整合している。
しかし、原審を含め多くの下級裁判所では、回りくどい理屈を付けて、基本権に対する権利不行使を、支分権に対する権利不行使と混同させ(みなし)て、未裁定の状態であるにも拘らず、支分権についても、継続5年間の権利不行使があったと判断し、本案支分権の消滅時効は完成していると判示している。
この判断は、基本的な重要な判断であるので、本来、法律解釈を職責とする高等裁判所で割れていてはならない事柄である。
このような状況下、いつまでも貴庁が判断を下さないのは、訴訟経済上も多大な損害が発生する原因となっており、社会的にも大きな問題である。
3 本案は、その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件であること
本案については、この権利自体が、老人、寡婦、及び障害者に係る重要な権利(譲渡、差押え、担保も禁止され、障害年金及び遺族年金に至っては公課も禁止されているほど)であり、最も遵法精神が問われる国家による違法行為が公然と長年続けられているという特異な事件であることに鑑み、貴庁が判断を示すこと自体に重要性が認められる事件である。

第2 本案は既に司法及び行政の大きな問題と化していること
 本案は、年金支分権の消滅時効の問題であるので、本来支分権について、継続5年間の権利不行使があったのかなかったのかを認定すれば十分である筈の単純な問題である(本書では、直接、支分権について継続5年間の権利不行使があったかどうかの論説を「正論」という)が、年金法の不備もあり、単にそのような判断では、公正が保てない現実が現れてしまい、ほぼ相手方の主張を認めた、下記の判決が示すような、正論とは別の論理〔本書では、本案は支分権の問題であるのに、これを基本権の権利不行使の問題と混同させ(みなし)て、基本権に対する権利不行使を支分権に対する権利不行使とする論説を「曲論」という〕が構築された。

@ 東京高等裁判所平成23年4月20日判決(乙第11号証)
A 東京地方裁判所平成22年11月12日判決(乙第12号証)

しかし、これは、老齢年金(通算老齢年金)の事件であり、老齢年金の一般的な事情の場合は、補佐人もこの論理を許容しているが、それは、一般的な老齢年金の場合にのみ認められる例外的な論理構成といえる。従って、この解釈が許されるのは、一部の例外である筈が、これを原則であるかのごとく、これとは実態の合わない障害年金や遺族年金にも拡大解釈した下級審判決が普遍化し、最早、法治国家とは言い難い大変な現状となっている。
補佐人が既に提出している賛同者は一部の例であり、刻々と事態は変わっており、最近だけでも2件の資料要請(参考1及び2)があり、本件補佐人が法定代理人成年後見人として争った事件(甲第7号証)の謄写記録等(参考3)でも、遠方からも名古屋地裁まで謄写申請に来ているのが現状であり、年金マスターの資格を持つ先輩社労士も、「いずれは、国も法改正等余儀なくされるものと確信していますが、・・・」(参考4)と補佐人の考え方に賛同してくれている。

第3 ほとんどの下級審における事実誤認及び誤判断の実例について
 1 原審の事実誤認及び誤判断
(1)判決文の明白な誤りカ所
(2)判決文の黙示的な誤りカ所
 ア 相手方の運用根拠は「内簡」又は「特別の法律に基づかない行政措置」以外にはないこと
 イ 個別の時効援用がないのに時効消滅させていること
 2 喉頭がんの事例を実態の異なる精神障害の事案に当て嵌めたカンニングペーパーのような不適切な高裁判決について
 3 遡及方法を年金制度の在り方と連結させた誤判断による高裁判決について

以上


平成22年11月22日付調書(決定)には、5人の裁判官全員一致の意見で決定した旨、及び「本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。」等と書かれている。しかし、本当にそうなのか。

同条同項によれば、「原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)に相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。」とされている。

本書冒頭に記載したように、上記のいずれの条件も満たしている。この判断については、判決理由ではなく、主文について条件を満たしている必要があるという考え方もあるかもしれない。しかし、仮にそのように考えた場合でも、第1の 2の事実がそれを満たす。

最高裁が判断から逃げていては、地裁である第一審で徹底的に議論して勝訴するより方法はないことになる。見方によっては、最高裁は、これは勝敗は明白であるので、「下級審段階で決着をつけなさい」といっているのかもしれない。

私は、近く予定されている11月30日(水)の名古屋地裁判決においても、来年1月17日(火)の神戸地裁の判決においても勝訴を確信しており、これから提訴予定の他の裁判においては、改正社会保険労務士法(平成27年4月1日施行)の補佐人制度の新設という援護射撃もあるので、以後の裁判では、第一審で徹底的に議論して、必ず勝訴判決を勝ち取る決意である。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 10:43| Comment(1) | 13 社会・仕組み

2016年11月19日

障害年金消滅時効問題に係るお客様の声


本日のブログは、先週のものとセットとしてお読みいただけると幸いである。

本日は、お客様のお力をお借りして、あるお客様の生の声により、お客様ご自身は勿論のこと、私の障害年金消滅時効問題に対する姿勢の理解を深めていただくこととした。

いよいよ、11月30日(水)には、この問題に対する重大な判決が、名古屋地裁で下されるが、提携予定先の法律事務所との事務の進行、大手新聞社との連絡等色々な面で佳境に入ってきている。

私としては、この辺りで一定の成果を目に見える形で示したい。そして、私が気に掛けている数人のお客様からも、本日紹介したW.N様のように、素直な気持ちで相談してほしく、W.N様にもご協力をお願いしたのである。

しっかりした考え方をお持ちの方とお見受けしたので、以下お客様の生の声を
お聞きいただきたい。勿論、イニシャル以外は無修正である。

厚労省は、こんな大変な環境にある方の受給権も公然と侵害しているのである。


20161113(日)18:04
木戸先生

お世話になっております、
札幌のW.Nです。

先生から拝領いたしました書類の準備が整いましたので、取り急ぎお送りいたしました。ご査収くださいませ。
御高覧いただき、何か不備な点がございましたならどうぞ御知らせ下さい。

そもそもではごさいますが、当方の障害年金が先生に御依頼出来るものなのかどうか、素人である私には判断がつきませんので、資料を御覧頂いた上での先生の忌憚なき御判断を仰ぎたく存知ます。もしも的はずれな内容でありましたなら、何卒お許し頂きたく、お願い申し上げる次第です。その際にはお手数ではございますが、資料はすべて破棄して下さいますよう、重ねてお願い申し上げます。

また、書面にもごさいますが、現在は申請時の2級から増級して1級を受給しております。
それと、訴えを起こした場合に、まもなくある年金の更新にあたって何らかの不利益が生じる(報復措置として)心配はございませんでしょうか?大変気懸りです。

時間のない中、御多忙な先生の御手を煩わせ誠に恐縮ではごさいますが、何卒ご高配賜りましたなら幸甚でございます。
それではどうぞよろしくお願いいたします。

W.N


20161113(日)22:10
木戸先生

札幌のW.Nです。
先ほど、メールにて書類送付を御知らせいたしましたが、間をおかずにご連絡差し上げることをどうぞご容赦下さいませ。

実は、先生から書類を拝領いたしました先週末より、書面作成に注力しておりましたために、いつもなら必ずチェックしております先生のブログを拝見出来ずにおりました。今夕、無事に書類をお送りして、やっと少しばかり安心したところで、ようやくブログに訪れることができました。

新しいブログを拝見して、大変驚くとともに非常に感激いたしました。まさか先生が私のことについてブログで触れて下さるなど、思いもよらなかったからです。
なにより、文字通り毎日目の回るような御多忙の限りを尽くしていられる先生が、私のような者をちゃんと御心に留め置いて下さり、さらにはご自分からの連絡はプレッシャーを与えるのでは、というお心遣いから、あえて私から連絡が来るまで待っておられたというその御気遣いと御優しさには、心から御礼申し上げるとともに本当に嬉しく、そして改めて先生のその篤実たるお人柄に感じ入った次第です。

私など、長らく不義理の失礼ばかりでありましたのに、このような先生の暖かい御心に触れることが出来、感謝の念に絶えません。とにかく今年は酷い事ばかりが続いてすっかり心身ともに打ちのめされておりましたが、仄かな光が見えたような気持ちです。
本当にありがとうございます。

どうしてもこのことを先生にお伝えいたしたくて、このようなメールを差し上げてしまいました。
先生との出会いは私にとって希望の灯であり、宝物です。

これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

札幌市 W.N


この文章を読ませていただき、気になるのは、このような賢明なお客様でも、「報復措置」を恐れていることである。私は、同様の感じ方をしてみえた方たちを多く知っている。

しかし、障害年金に係る処分は、そもそも「不利益処分」自体が禁止されているのである。仮に、正当な権利を主張したことで、「報復措置」があったとすれば、これは一大事であるので、私は、そのような取扱いを絶対に許さない。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 09:46| Comment(0) | 1 障害年金

2016年11月12日

着手金見合のお金のないことは恥かしいことではない          私の受任・闘争姿勢は弁護士方式とは全く違う

今週の火曜日8日18:00、私が健康状態と生活ぶりを心配していた札幌市の私のブログの定期訪問者W.N様から、久々にメールをいただいた。

体調が悪くパソコンでメールを打つのも大変な状態であったにも拘らず、幾度か長文のメールをいただいていた方である。勿論、障害年金の支分権消滅時効で悔しい思いをしてみえる方であるのだが、今まで色々な事情で異議申立て等の行動に移せていなかった。

このメールによると来月12月には、本当の消滅時効期限を迎えるというので、ご本人にとっては、思い切ってのことと推測できるが、この問題に係る本心を吐露していただけた。時効の中断措置を採り、未払いの年金を請求したいのだが色々な事情で着手金の支払いができないのである。そこで分割払い等のご提案があったのだが、私は、そのようなことを気にする人間ではない。人には、色々な境遇があり、事情がある。お金のあるなしは、人としての値打ちとは無関係である。2万円と消費税の着手金と何百万円何千万円の未払いの年金の消滅時効が完成してしまうこととは、提灯と釣鐘ほどにその重さが違う。

ただし、やるからには、最後まで辛抱強く一緒に争っていただける方でないと私も困るので、その意思表示さえあれば、支払いなど可能なときで良い旨の回答を出し、即座に委任契約が成立した。

札幌には、既に係争中のお客様がいるので、この問題に関するお二人目のお客様である。W.N様は、パソコンが故障して、添付ファイルでの遣り取りができない状態であり、来月の幾日が期限かも私は未だお聞きしていない。なお更一刻の猶予もない状態であることには間違いはなく、対策を急ぐ必要がある。

それにつけても、良く素直に相談してくれたとホッとしている。実は、私は先週のブログで、「・・・、これくらいのサービスは無報酬でさせていただいている。」との一節を最後の方で入れさせてもらった。入れるべきかどうか迷ったが、一般的に、この事件でのお客様は、経済的に恵まれていない方が多いので、それを承知している私としては、このような本心をさらけ出した相談を歓迎しているのである。私の感じるところでは、今まで遣り取りをした方の中でも、数名は同様の事情にある方がみえるのではないかと思い、その方たちにも、素直な気持ちで相談してほしいと願い、敢えて、この一節を入れたのである。

W.N様についてその効果かどうかは分からないが、結果、アプローチしていただけた。私は改めて相談があるまで、大変心配はしていたのだが、私から話を持ちかけるのは、強制やお客様の心の負担に結び付いてはいけないのでできなかったのである。時効中断の効力は大きく、これがなければ、5年を1日でも経過すれば、保険者国は、時効を援用すれば、いくらどんな理屈を言おうがどうにもならなくなってしまうが、一旦中断してしまえば、そこから再スタートであるので、この違いは大き過ぎる。

ここで、この問題に対する私と弁護士方式との違いについて述べる。

先ず第一に、私は、個々の事件の解決は勿論、最終的には、厚労省に法改正又は運用改正を決断させることを目標にしていることである。

これに関しては、弁護士方式では、前者だけが目標であるので、例えば裁判において負けてしまえば、これで終りである。ところが、私は、裁判で負けてしまった方からも、既に数件の事案について、異議申立てを行っている。それだけではなく、あらゆる可能性を念頭においている。国の違法の根拠は明確であり、司法と行政は取扱いが異なるので、今までに異議申立てを経ていない方については、それができるのである。これは、最高裁において不受理になった方についても例外ではない。

私が、裁判所で補佐人として活動を許されたのは、平成27年4月1日の改正社会保険労務士法施行以降であるので、私は、徹底的に議論のできる第一審において、補佐人としての活動ができておらず、1回で終っている高裁の審議においては、裁判官に国の違法を確信していただく(心証形成)までの主張ができていなかったのである。

今一つは、今までの実績と総合的対処である。何といっても、私は、高裁、最高裁と直球勝負で勝っており、再裁定請求等を含めあらゆる手段で追及している。今までの弁護士受任事件では、この問題については直球勝負で勝った実績がなく、つい先日の岐阜地裁では、民法第158条1項の類推適用の条件も揃っていたものを負けているのである。

私は、このような状態を許せず、弁護士と共同受任で国と争う場合も、弁護士の着手金を勝った場合の成果報酬見合に設定していただくようお願いしている。

一番重大なことは、勝つことであり、勝ちさえすれば、相手が国であるので、回収不能はあり得ず、依頼者は、回収したお金の一部から支払えば済むので、現状、このような状況下、ほとんどの依頼者が望んでいることなのである。
posted by 326261(身にロクに無い:身に付いていない:電話番号!!) at 14:21| Comment(0) | 1 障害年金